2017-03

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作家×編集者VOL.1『プロ野球画報2015 東京ヤクルトスワローズ全試合』制作秘話

『プロ野球画報2015 東京ヤクルトスワローズ全試合』制作秘話
『フ-ロ野球画報2015』HPハ-ナー修正

2016年1月14日、ながさわたかひろ「プロ野球画報」シリーズの完結版『プロ野球画報2015』(雷鳥社発行)が完成。
1月23日の発売にさきがけて、ながさわたかひろと担当編集が制作の裏側、本書を込めた思いを語る。


※「プロ野球画報」シリーズとは
「描くことが応援となり、チームの力になる」のモットーのもと、絵描き・ながさわたかひろがプロ野球(2009年・楽天、2010~2015年・ヤクルト)のシーズン全試合を描いた作品。

baseball1.jpg
左:ながさわたかひろ(著者) / 右:中村 徹(担当編集)


●昨年から大きく進化した『プロ野球画報2015』
中村
東京ヤクルトスワローズの2015年シーズン全試合をながさわさんが描いた『プロ野球画報2015東京ヤクルトスワローズ全試合』の発売日が1月23日に決まりました! そして、これがいま印刷所から届いたばかりの見本誌です。

ながさわ
おっ! 持ってみると予想以上にボリュームを感じますね。
baseball2.jpg
中村
2014年シーズン版『プロ野球画報』(ぴあ)と比べて、丈が2cm近く伸びて、24ページ増えています。丈が伸びたことで、新たに全試合にスコアボードと、ながさわさんの“つぶやき”が入りました。

ながさわ
ここが大きく進化したところだよね。スコアボードは毎試合の結果や、勝利投手なんかがひと目でわかる。絵の中にも描いてはいるんだけど、探さなきゃいけないから。当日の試合を終えての順位も追加したしね。

中村
つぶやきでも、ながさわ節が楽しめる仕様になっています。

ながさわ
これは、自分を褒めてあげたい。ちゃんとその日に自分の思ったことを書いてあったからできたわけですし。これによって、読み物としても楽しんでもらえる内容になったはずですよ。一人の男の挑戦を記録した本なわけですから。

中村
デザイン的にも、いろいろ工夫を凝らしました。

ながさわ
シーズンの区切りによって両脇のラインの色を変えたんですよね。たとえば交流戦が見たい人は水色の部分を開けば、すぐに見られますから。本の小口に「プロ野球画報2015」のロゴが浮かび上がるのも素晴らしい。

中村
これはブックデザインをしてもらった前田淳二さんのアイデアですね。細かいところですが、読んでいて楽しくなります。
IMG_4871.jpg
2015年版には新たに「ながさわのつぶやき」「スコアボード」「当日順位」が加わった。また小口に「プロ野球画報2015」が浮かび上がるデザインも。


●“2015”はスワローズにとって特別な年

ながさわ
この本の制作に取り掛かったのが、日本シリーズが終わったあとだったんだよね。

中村
11月5日頃だったと記憶してます。そこから年内に書店に並ぶところまでもっていきたいって話だったので、かなりタイトな進行スケジュールを組みました。

ながさわ
12月19日から個展が決まっていましたから、間に合わせたいっていうね。

中村
正直、絶対間に合わないだろうと思ったんですが、印刷入稿データ自体は年内発売に間に合うギリギリのライン12月2日時点で完成させることができました。最終的には、球団サイドから認可をもらうのに予想以上の時間がかかってしまい、発売は1ヶ月近く遅れてしまいましたが。

ながさわ
タイトルが『プロ野球画報2015』なだけに2015のうちに出したかったっていうのもあったよね。年が変わると、どうしても古くなった感が出ちゃう。

中村
ただ、2015年はスワローズが優勝したシーズン。ファンからすれば、10年経っても「2015年優勝したよね」って話になりますから、「2015」に意味があると思います。阪神ファンがいまだに1985年シーズンを語るような(笑)。

ながさわ
そういう意味では、カバーに載せるイラストをスワローズの選手に絞ったというのは、ひとつポイントです。優勝のメモリアル感が出た。巻末に2015年シーズンのスワローズのチーム記録、選手記録、それから日程もカレンダーで表記してある。これは良いアイデアだったよね。

中村
対戦カレンダーがあると、「開幕カードは広島と1勝1敗だったのか」とか「5月9日から9連敗してんじゃん」みたいな振り返り方が、ひと目でわかる。本篇だとページをめくっていかないとわからないですから。
1.jpg
ながさわ
個人記録もこうやって改めて見ていくと、「この投手こんなにも登板してたんだ」とか気づくこともあるからね。スワローズファンには嬉しい要素ですよ。あと、なんといっても選手別索引です。自分の好きな選手を探すのも楽しみ方のひとつ。プロ野球ファンなら、これだけでかなり楽しめます。

中村
ながさわさんの絵は密度が濃いですから、さながらプロ野球版『ウォーリーを探せ!』といった感じです。巻末の索引で答え合わせができますから。

ながさわ
また、選手の登場回数と活躍の度合いは、ある程度比例しているはずだから、スワローズの選手は選手索引をみれば、2015年の活躍度合がわかります。山田、畠山、川端なんかは、やっぱり多く出てきますから。

中村
それでいくと、索引のスワローズの最後に「ながさわ」ってのがあって、登場回数では荒木、徳山と同じくらい出てますから、ながさわさんとしては、彼らと同じくらいは2015年シーズンで活躍したってことでしょうか?

ながさわ
そうですよ。控えめにしてたつもりですけど、僕もちょこちょこ出てますから(笑)。
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盛りだくさんのコンテンツ。巻末には、スワローズの「対戦カレンダー」、「チーム成績」、「選手成績」などが集録された「スワローズ2015シーズン記録集」に加え、どの選手がどこのページに記載されているかがわかる「選手索引」も付属されている。

●6年間、継続して描き続けたことの価値
ながさわ
僕がスワローズを描きつづけた6年間の活動記録を載せられたのも良かった。いきなりこの形ではなく、試行錯誤をしながら辿り着いたわけだから。

中村
細かい絵のタッチも含めて、よく「プロ野球選手が試行錯誤しながらフォームをつくり上げていくのと同じ」と話していましたね。

ながさわ

まさにその通りです。毎年、春季キャンプの時期から開幕に合わせて、その年の絵のスタイルをつくり上げてきたわけです。シーズン中もコンディションに合わせて微調整を繰り返してシーズンを戦うわけですから。最後のページ、著者プロフィールの写真には、リーグ優勝が決まった試合のスタンドで撮った写真を使いました。これも僕にとっては大きいことです。

中村
優勝が決まった試合が神宮球場だったのも意味があったわけですね?

ながさわ
そうです。6年間、この瞬間のために神宮に通ったわけですから。

中村
ながさわさんの活動の本質って、絵そのものの良し悪しではなく、絵に対する向き合い方だと思うんです。僕みたいな美術の素人がこんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、単純に『プロ野球画報2015』の絵1枚だけをとって、これより上手い絵を描ける人は、探せばいると思うんです。ただ、このクオリティでシーズン通して描きつづけられる人ってなると、他にはいない。ましてや、この絵に関していえば、ほぼ収入ゼロ。それどころか絵を描く時間を確保するために他の仕事を極力減らすって覚悟でやっているわけで。そうなってくると、技術で描いているというよりは、魂で描いている印象です。だからこそ絵だけでなく、絵を描いている作家込みで観た方が楽しめると思うんですね。

ながさわ

読者の方にも、そういう見方をしてもらえたら嬉しいですね。野球に興味あるかないかは関係なく、ひとりの男が自分の掲げた目標に向かって挑戦していく様を見てもらえたらと思います。この 作品は絵1枚で1作品ではなく、1シーズンで1作品と言っていいんです。だからこそ本として一冊にまとまることに意味があるんですよね。
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ながさわがスワローズと共に戦った6年の軌跡を掲載。


●編集後記『プロ野球画報2015』は人生を面白くする本
今回、本の帯にキャッチコピーとして「応援の仕方を変えれば、プロ野球はこんなにも面白い」と書かせていただきました。これには、彼が長年テーマとして掲げてきた「応援は力になる」という意味と、もうひとつ、私自身の思いを込められています。それは「行動を変えれば、人生はこんなにも面白い」ということです。
今の日本は、そこまで頑張らなくてもそれなりに暮らしていくことができます。それだけに、多くの人がそういった環境に流され、漠然と日々を過ごしてしまっていると感じるのです。
別にプロ野球選手になるとか、画家を目指すといった、特別なことに挑戦してほしいというわけではありません。仕事や勉強、部活を頑張る、家族や恋人、友人を大切にするといった、自分にとって大切なこと、自分の真ん中にあるものから目を逸らさずに向き合うこと、それだけで人生は面白く変わると思います。彼にとって、それが絵であり、向き合うための手段がスワローズの試合を全試合描くことだった、ということなのです。
この本を手にとってくださった人が、“ながさわたかひろ”という絵描きの生き様に触れ、人生を考えるキッカケになれば幸いです。

撮影・協力:癸生川栄
構成:中村徹

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カバーを外した表紙裏面は、ながさわがスワローズと共に戦った証のひとつでもある、2015年シーズンに神宮球場で着用し続けたユニフォームを模したデザインに。



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